上手に親切を受ける

昨日、バスに乗ると、シルバーシートに座っていた女性が席を譲ってくれた。

といっても、その女性は私より10歳くらい若い方で、シルバーシートに座っていても咎められる歳ではない。

「大丈夫ですから」と遠慮すると、「大丈夫だとは思いますが」とさっと席を立つ。

少し躊躇するも、せっかくのご好意なので、座ることにした。

内心、「そんな歳に見えたのか・・・」と面白くなかったが、それは自分の問題であって、譲ってくれた女性になんの罪もない。少しでも自分より年上に見える人が来たら席を譲るのが彼女の方針なのかもしれないし。

こういう時は笑顔で座っているのが一番だ。

シルバーシートに座り、お年寄りが前に立っても、知らん顔してスマホをいじっている若者より、よっぽど気持ちよいではないか。

その前日、親戚の日米ハーフのお嬢さんに仕事を手伝ってもらい、雑談していると、面白いことを彼女が言った。

彼女が家の近くを歩いていると、庭でバラのアーチを一生懸命立てようとしているおばあさんがいた。

即座に「お手伝いしましょうか」と声をかけると、おばあさんは喜んで応じ、彼女はアーチを立てるのを手伝ったと言う。

彼女曰く。大体の日本人は見知らぬ人に『お手伝いしましょうか』と声をかけられると『いや、大丈夫です』と答える。前述したおばあさんのように喜んでしてもらう人は珍しいとか。ふーむ、そういえばそうかも・・・。

その代わり、人が困っていても滅多に助けようとしない。

彼女が自転車で派手に転んだ時も、歩いている人は見ているだけで、手を貸そうとしなかった。彼女が自力で立ち上がると、ようやく「大丈夫ですか」と声をかけてきた人がいたと笑う。

アメリカではそういうことはほとんどないと言う。困っている人がいれば見知らぬ同士でも助け合う。

どちらがいい悪いとは言わないが、日米の文化の違いだろう。

この話と、私がバスで席を譲ってもらうのを躊躇したこととは内容が異なるが、どちらにしても、見ず知らずの人でも好意的に助けてくれようとするなら、気持ちよく助けてもらおう。

そのほうが手を差し伸べてくれる人も気分がいいだろうし、自分も助かる。

「親切いただき上手」のおばあさんになろう。

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