『パリのすてきなおじさん』

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『パリのすてきなおじさん』(文と絵 金井真紀  柏書房刊)

中目黒のブックオフで見つけ、表紙が目立ったのでつい買ってしまった本。

そんなに期待しないで読んだが、とても面白かった。

著者の金井真紀さんは作家でイラストレーター。「世界はフムフムで満ちている 達人観察図鑑」や「酒場學校の日々 フムフム・グビグビ・たまに文學」など、ユニークなタイトルの著書があり、まだ未読だが興味をそそられた。

その金井真紀さんがパリ在住40年のジャーナリスト、広岡裕児さんの案内でパリのおじさんたちをインタビューしたのがこの本である。
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本の帯裏には「パリは人種のるつぼ、おじさんのサラダボウルだ。読めば21世紀の隣人の姿が浮かび上がり、クスクスも赤ワインもより味わい深くなる」と作家の中島京子さんの書評が載っている。

ことほど左様に本書には生粋のフランス人はあまり登場しておらず、移民や他のヨーロッパの国のおじさん、また、アジア、アフリカなどからパリはにやってきて住み着いたおじさんたちのルポが多い。

純日本人しか周囲にいない私たちの環境とはパリはまるで異なる世界と言っていい。

1.おしゃれなおじさん
2.アートなおじさん
3.おいしいおじさん
4.あそぶおじさん
5.はたらくおじさん
6.今を生きるおじさん

以上6章からなり、それぞれに個性豊かなおじさんの履歴や考え方、ライフスタイルなどが退屈しない程度の簡潔な長さでまとめられている。

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たとえばこのおじさん、ムフーブ・モクヌレさんは馬が好きで、毎日競馬場に通う92歳。

3頭もの馬の馬主さんだったこともあるが、アルジェリア人だったためにイジメにあったこともあるとか。

ただ、おしゃれだなあ、絵になるなあという内容ではなくて、人種差別とか、テロとか、ホロコーストなど辛口の話が語られている。
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ロベール・フランクさんはユダヤ人で両親と兄弟を収容所で亡くした。彼だけがなぜかフランス国籍を取っていたために死を免れた。その話は涙なしには読めない。

本書の所々に〈解説〉と題したコラムがあり、フランスとアルジェリアの関係とか、フランスのイスラム教徒、または移民や難民についての説明がある。

日本人がフランスやパリを理解するうえで役に立つ知識だ。

おじさんたちの人間味あるイラストを見ながら、ちょっぴり垣間見るフランスの移民、難民、テロなど諸問題。

もし、フランスに行くなら、多少は勉強していきたいと思う。

本棚にしまったものの、また読み返してみようかという気にさせる本である。

by koharu50 | 2018-07-13 08:00 | | Comments(0)

自分の好きなファッションでいつもニコニコしていたい。おしゃれの法則?それも大切にするけれど、冒険も大好き💕諦めちゃダメ、おしゃれはいくつになっても私を前向きにしてくれる。


by 小春