
書店で見たときから、おしゃれな本だと思いました。
「Soliste おとな女子ヨーロッパひとり歩き」(寺田和代著 KADOKAWA刊)
トレンチコートのよく似合う女性がヨーロッパのどこかの街で地図を広げている写真が表紙。
著者の寺田和代さん。会社員を経て、1988年からエディター、ライターとして活躍。
数年間に寺田さんの最初の著書「おとな女子のヨーロッパひとり旅」を読んでいたから、すぐに彼女の二作目だなとピンときました。
30代半ばから20年間の間にヨーロッパのひとり旅を32回も経験。
フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、東欧諸国・・・
1回の旅程はだいたい1週間から10日。予算は航空券からホテル代、食事代、観光費などすべて込みで20万円を超えないことがモットーとか。
前作ではおとな女子ひとり旅の計画の立て方や注意、予算、女性のひとり旅でとどうしたらきちんと対応してもらえるかなど旅の基本が書かれていた。
私にとっては割と知っていることが多かったので、サラリと読めてしまい、正直なところ、少し物足りませんでした。
でも、今回の2作目は実際に行った旅のルポが書かれていて、とてもおもしろい。
女子ひとり旅の面白さ、楽しさ、不安、そして時にはスリルもびんびん伝わってきます。

沢木耕太郎の「深夜特急」を好きだという人は多いと思いますが、スケールこそ違え、寺田さんの旅のルポは女・沢木耕太郎を思わせます。
彼女が旅に出る理由、ブロローグの冒頭の文書はなかなかの名文。
「人生も半ばを過ぎたいま、日常で見聞きすることに若い頃のようには驚かなくなった自分がいる。
いや、日々さまざまなことに驚いてはいても、そのあとすぐに、あたり前でしょ、手持ちの了簡や知識なんかじゃとうてい追いつかない、それがこの世界、と訳知り顔な分別をかぶせてしまって感慨をすぐに手放す。
驚くことから、驚きの輝き(のようなもの)がうしなわれつつある。
そんな自分が否応なく一変させられるのが、ヨーロッパの街々をひとり旅する時だ」
本当にそうだなあ、と同感。
女一人でも旅はできるし、楽しい。
旅に出たいという気持ちに駆られる、一作です。
いつか行くぞ!ヨーロッパおとな女子ひとり旅。