"「素敵」の法則"(政近準子著 ホーム社刊)を読む。
おしゃれの本の中で一番多いのはタレント、スタイリストなどおしゃれの達人がコーデォネートについて書いているもの。そのコーデを真似ればおしゃれの達人になれるがごとく書いているものがほとんどだが、そんなものはすべて幻想。
賢い読者ならそうしたコーデはあくまでも参考であって、必ずしも自分ににあうものではないことに気がつく。
それにコーデを真似るためにあれやこれやと買い物をするのも、まったく無駄とはいわないけれど、結局タンスの肥やしを増やすことになるだろう。
一番いいのは自分のスタイルを早く見つけて、ぶれないおしゃれをすればいいのだが、その境地に到達するにはどうしたらいいのだろうか?
政近準子さんの本はぶれないおしゃれをするために大変参考になる本である。
たとえば、おしゃれの基本はまず定番を着ることから始ると言われているけれど、定番を着こなすのは難易度が高いと政近さんは言う。
それよりも自分にとっての「18番」を探す。
誰もが「その洋服似合うね」と人から言われたことがあると思う。できるだけたくさんの人から似合うと言われた服がその人の18番で、「定番」を着こなすよりよほど簡単におしゃれな着こなしができる。
また、政近さんはノーブルフェミニン、キャリアクラシック、マニッシュクールなど8つのファッションテイストを作り、簡単な診断テストをして自分がどのテイストが似合うかを知る方法を提案している。
これなどは具体的に自分に似合うテイストを診断することが出来てとても分かりやすいし、各テイストにはどんなデザイン、生地、小物等が似合うかが説明されている。
ちなみに診断してみた私のテイストはノーブルフェミニンとマニッシュクールのミックスだった。マニッシュクールのほうはわかるけれど、ノーブルフェミニンが混じっているとは初めて気づかされて新鮮な気がした。
政近さんはファッションブランドのデザイナーを経て2001年から個人を対象にしたパーソナルスタイリストとして活躍している。
この本の他にも「似合うの法則」「人生は服、次第」「服はあなた」などの著書がある。
読者の感想に「政近さんの本を読むまで、ファッションってちょっと頭の悪いものだと思ってました」というものがある。
この感想通りに、これまでのおしゃれ本とはひと味違ったインテリジェンスが感じられ、説得力がある。
まだ「素敵の法則」しか読んでいないが、次の本を読むのが楽しみになる著者である。